誘いには断りたいと返せても、最後の「また誘ってください」で手が止まることがある。今は次の約束をしたくないなら、その一文は付けなくてよい。「お誘いありがとうございます。今回は参加を見送ります」と、今回の返事だけを伝える。ここでは、友人や同僚からの私的な誘いに、文字で返信する場面を考える。
誘いを断る、まず送れる一文
最初に決めるのは、今回参加するかどうかである。参加しないと決めたら、次の二つを短く書く。
- 誘ってくれたことへの一言(お誘いありがとうございます)
- 今回の返事(今回は参加を見送ります)
次も誘ってほしいなら、ここへ「また誘ってください」を足す。まだ分からないなら足さない。「また」は丁寧に見せるための飾りではなく、次の誘いを望む言葉だからである。
理由を添える場合も、実際の事情だけを書く。予定がない日に「予定が入っている」と作ったり、行きたいと思っていないのに「ぜひ行きたかった」と重ねたりする必要はない。詳しい理由を伝えず、今回の参加意思を返す形も選べる。
送る前に三つに分ける — 感情・事実・お願い
送れない下書きは、たいてい三種類の文が絡まっている。工房の仕立て台でツムギがやることは一つで、下書きに三本の線を引き、感情・事実・お願いに分けるだけである。
- 感情: 誘ってもらえたことへの気持ち。お礼を言いたいなら、一言添える。
- 事実: 今回は参加しないと決めている。
- お願い: 次も誘ってほしいか。希望がなければ、この部分は空けてよい。
三つに分けるのは、三つすべてを文に入れるためではない。自分がまだ決めていない希望を見つけ、勝手に埋めないためである。関係を大切にしたいことと、次の食事会にも誘ってほしいことは別々に考えられる。
文例 — 基本形・丁寧形・短縮形
次の三例は、いずれも「今回は参加しない。次の約束はしない」という同じ用件を伝える。丁寧さを変えても、返事の内容は変えない。
基本形(同僚・友人へ、メールかチャットで)
お誘いありがとうございます。今回は参加を見送ります。
使える条件: 私的な誘いに、今回は参加しないと決めて返すとき。次も誘ってほしいかはまだ決めていなくてもよい。/使ってはいけない相手: 勧誘目的の相手や、断りを無視して圧力をかける相手。すでに参加を約束した予定の取消しにも、そのままは使わない。
丁寧形(上司・先輩へ、メールで)
お誘いいただきありがとうございます。今回は参加を見送らせていただきます。
使える条件: 上司・先輩などからの私的な誘いに、改まった文で辞退を伝えるとき。/使ってはいけない相手: 参加が業務上の指示として扱われていて、出欠の調整が必要な場面や、強い圧力がある相手。言い方だけで解決しようとしない。
短縮形(気心の知れた相手へ、チャットで)
誘ってくれてありがとう。今回は参加しないね。
使える条件: 普段から短い言葉を交わす相手の私的な誘いを断るとき。/使ってはいけない相手: 改まったやり取りが必要な相手や、断りを無視する相手。予約済みの会への取消し連絡にも、そのままは使わない。
次も誘ってほしい場合は、選んだ形に合わせて「また声をかけてもらえるとうれしいです」などの希望を添える。将来の参加を決めていないなら、「次は必ず行きます」とは書かない。
相手と媒体で変える言い方
- 上司・先輩 × メール: 丁寧形を手がかりにする。私的な誘いへの返事か、仕事の出欠調整かを先に確かめる。
- 同僚 × チャット: 普段のやり取りに合わせ、基本形か短縮形を選ぶ。急いで返すために、参加意思まで曖昧にしない。
- 職場の飲み会 × LINE: グループへの返信と幹事への個別連絡は、飲み会の断り方(LINE)で確かめる。
- 会議・行事に行けない: 出席が前提の場への連絡は欠席連絡の言い方へ。
- ママ友からの誘い: 子ども同士の関係が絡む場合はママ友の誘いと距離の一言で条件を確かめる。
使える条件と、使ってはいけない相手
三例は、今回は参加しないと決めた私的な誘いへの返信に使う。「今回」とだけ書けば、今後の誘いを断る意思まで伝えたことにはならない。今後も同じ集まりへの参加を控えたいと決めているなら、その範囲を別に伝える。
勧誘への返答は営業メールの断り方へ進む。断りを無視される、脅される、仕事上の不利益をほのめかされるなどの場合は、文例を変えて一人で説得を続けず、職場の相談窓口などへ相談する。
一度書いた返事を、条件に合わせて見直す
以下は編集部が作った練習である。まず条件を読み、下書きの最後をどうするか決めてから、見直し方を開いてほしい。相手がどう感じるかを当てる問題ではない。
今回は断るが、別の機会には誘ってほしい
「また」の一文を残す。次も誘ってほしい希望は伝えられるが、参加できると決まったわけではない。「次は必ず」と参加の約束まで足していないかを見る。
今回は断りたい。次も誘ってほしいかは決めていない
「また」の一文を外し、基本形・丁寧形・短縮形のいずれかで終える。理由を聞かれても、詳しく話したくなければ事情を追加しない。丁寧にしようとして架空の予定を作らない。
断ったあと、別の日ならどうかと再び聞かれた
別の日にも参加したくないなら、日付を変える相談には進まず、参加を控えたい意思を返す。その集まりだけを断るのか、今回だけなのかを自分で確かめる。すでに伝えた断りを無視される場合は、説明を増やし続けない。
断ったあとに返信がなくても、怒っているとは決められない。断りが届いていて、追加の調整がなければ、了解の返事を求めて催促しなくてよい。
下書きの最後を一度だけ読み直す。「また」が自分の希望なら残す。希望していないなら外す。今回伝えたいことと、書いた文が合っているところで返信を整える。